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熊野市百科大事典：神話と伝説 『神武天皇』 <
くまのしひゃっかだいじてん：しんわとでんせつ 『じんむてんのう』 > |
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熊野市（旧熊野市、旧紀和町） > |
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神武天皇は4人兄弟の4男です。長兄の名前は、五瀬命といいます。邪馬壱国説をたてた古田によると兄弟は延岡の近く五か瀬川流域の出身ではないかとされます。理由は色々あるのですが、例えば地名比定をしてみると、長兄の名前は、いつせの命と読まれますが、特にそう読む理由があるわけではなく、ごかせの命とも読めます。神武の幼名は佐野命と言いますが、佐野という地名は五か瀬川流域にあるそうです。定説ではありませんが、なかなか納得のゆく説です。
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兄弟はそこから当時の中心地である北九州に出、さらに広島付近で 7年、岡山付近で 8年を過ごした後、岡山を足がかりに、多分、岡山の豪族の意を受けて、あえていえば岡山の豪族の手先として、近畿に侵入しました。最初、大阪付近で戦い敗れました。この時、長兄が死んでいます。残った兄弟は大阪湾からの侵入をあきらめ、大回りして熊野から山を越えて大和に攻め入り成功したのです。
この時の上陸地が熊野の荒坂の津、つまり今の熊野市 二木島町 です。他の地を上陸地に当てる説もありますが取るに足りない。
とるにたりないとは書きましたが、神武天皇の大和への侵入は、戦前は神武天皇の東征といわれ、その道筋は古事記・日本書記を引き、地理地形を論じた大議論でした。「紀伊南牟婁郡誌」によると、上陸地には主な説として、5ヶ所あります。
二色 (潮岬の付根、西側)
浜の宮 (紀勢線那智駅付近)
三輪崎 (新宮市)
二木島 (熊野市)
錦 (紀勢町)
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また、上陸後のルートも次のような説があります。
那智 - 雲取 - 本宮 - 十津川
那智付近 - 新宮 - 本宮 - 十津川
十津川経由
北山川経由
十津川乃至北山経由
北山及び大杉谷経由
大杉谷経由
高見山経由
本居宣長は、錦に上陸、ひとやま越えて大杉谷に出、さらにひとやま越えて、櫛田川の谷に出、高見山を越えて吉野に出たとします。
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河田羆も宣長と同じ。濱田男麿は、三輪崎または浜の宮上陸後、新宮 - 本宮 - 十津川を主とし、雲取経由もありうるとする。飯田武郷は、十津川経由説から、二木島上陸、北山経由説に変更。星野恒は、上陸地は明らかにせず、十津川経由とする。本居内遠は、二木島上陸、北山経由説。日本読史地図は、新鹿上陸、陸路新宮に戻って熊野川 - 十津川とする。山田正は、二木島上陸、北山経由とするも、大杉谷経由もありうるとする。小野芳彦は、書紀によれば二木島上陸が妥当と言うのももっともだが、書紀に錯簡ありとして、浜の宮上陸、新宮 - 本宮 - 十津川説を取る。久米邦武は、小野と同様に書紀に錯簡ありとするが、新宮から北山川にそって進み、大峰を越えて十津川に入るとする。
これらの諸説に対して、大西源一が、二木島上陸、北山経由説を完成させました。各説の批判、論証を詳しく行っています。小野芳彦との論争は続きましたが、大西説が通説となったと思います。
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神武の二人の兄は二木島沖で嵐に遭ったときに死にました。二人とも嵐を静めるために自ら入水したと言われます。ここで、神武と二人の兄との間で権力闘争が有り神武が勝ったのだと想像してみるのも面白いでしょう。この二人の兄のうち、次男の稲飯（いない）の命は、 楯が崎 対岸の牟婁崎にある室古神社に、三男の三毛入野（みけいりぬ）の命は、楯が崎にある阿古師神社に祭られています。
これ以後、神武とその息子である当芸志美美(たぎしみみ)が、遠征軍の指揮をとって大和に向かうのです。山越えで神武らが道に迷った時に道案内したのが八咫烏つまり三本足の烏です。御輿の上の鳥が三本足なのはそのためであります。大和に入り込んだ神武の軍は、奈良盆地南部の一角を占める事に成功し、今に続く天皇王朝の基礎を築きました。
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現代の我々の目からみると、ある政権例えば豊臣政権を倒すと言う事は、その後若干の闘争はあるにしても、倒した徳川は日本全国一円の支配を、確立する事になります。しかし、このとき神武は、この地に勢力を張っていた、八十建や登美昆古などを倒して、彼らの勢力圏を奪ったのであって、全国一円制覇には及びもつかないのです。しかも、八十建も登美昆古も、いわばだまし討ちで倒しており、神武の軍が正攻法で彼らを倒せるほど強力ではなかったと想像できます。
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神武の息子で、神武とともに戦った当芸志美美は、二代目として神武の打ち立てた勢力圏を継ぎましたが、神武の大和に入ってからの妻伊須気余理比売(いすけよりひめ)の子供、つまり異母弟の建沼河耳(後の綏�陛傾�)に殺されます。この結果、九州からの進入者の血統は絶え、現地大和系の伊須気余理比売の血統に変るのです。
以後九代目開化天皇までは、近隣の豪族との婚姻関係を積み重ねて、地元豪族の一つとして認められて行く過程であります。天皇家が他の豪族から一歩抜け出し、王朝として奈良盆地の一角から拡張して行くのは、十代目崇神天皇の出現からであります。
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参考文献 |
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熊野市百科大事典 |
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その他関連情報 |
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なし |
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