熊野古道
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 熊野古道協働会議 平成19年度総会  2007年7月29日(三重県立熊野古道センター)
※ここに記載する内容は、ページ作成者が会議に出席してメモした内容に基づいているため、実際の発言内容と異なる部分があるかもしれません。文責は「くまどこ」にあります。



(c)大台町ふるさと案内人の会の発足
  (大台町ふるさと案内人の会会長 上野進)
 長年、商工会に勤めて地域の活性化に取り組んできましたが、なかなか上手くいきませんでした。外にある良いものにばかり目を向けて、地元に目を向けることが少なかったのではないかと考えて、今は地元のことをしっかりをやっています。人が住んでいるから街なのであって、人が住めるようにすることが必要です。
 大台町にも熊野古道が通っていますが、これまで情報がまとめられていなかったのか調べてみました。町の広報をひっくり返してみたら、町内の熊野古道をたどったレポートが過去に連載されていました。また、町史をたどって北畠氏の歴史についても調べてみました。これらの調査をもとにして、「あしあと」という本を出版しましたが、これは先人の仕事をたどって後世へ伝える仕事だと思っています。
 古道歩きのアンケートを見ると、地元の人に声を掛けられるのが一番嬉しいという意見があります。しかし、自分たちの町内の熊野古道についてまともな知識を持っていない者が声を掛けて教えても、何にもなりません。実際に町内では、熊野古道についてまともな知識がほとんど伝わっていない現状があるのです。そこで、まずは案内できる人を養成しなくてはいけない、ということで立ち上げたのがこの会です。
1 町内の熊野古道伊勢路の再生と開発
 馬鹿曲(ばかまがり)という場所があるが、その土地の区長でさえ正しい場所を知らないという有様でした。また、橋をつけるときに落とされたところがあったり、「三瀬の渡し」がないように、町内の熊野古道は歩けない状態のところが多くあります。そういった道を再生させていきたいと思っています。その中でも重要なのは、横の連携をとっていくことです。宮川ルネッサンス事業に参加していますが、行政は何かと縦割りで動きます。熊野古道と宮川ルネッサンスなど、横の連携をしっかり取りながらやっていくべきだと思います。
2 熊野古道伊勢路の各語り部の会ネットワーク
 語り部があちこちでバラバラではいけないと思います。情報交換したり、相互研修したりするとともに、料金や資料などシステム面で統一していくべきではないでしょうか。
3 語り部としてこれからの問題点
 町内でまだまだ知名度がないので、まずは町内でPRしているところです。
 経験を重ねて質を向上させていくとともに、定期的に人を募集して若い人たちへバトンタッチしていくことが必要ではないでしょうか。
 また、(同じく世界遺産登録されていない熊野古道のある)玉城町・多気町・大紀町との連携も重要です。「出発点の田丸からツヅラト峠へ至る途中の大台町」という位置づけで取り組んでいきたい。
 最後に、地域が大事だということを、玉城町の取組を見て感じました。地道な取組を通じて地域が良くなっていくのだと思います。
 サンティアゴ・デ・コンポステーラの話で「バル」という店がトイレを兼ねていたということですが、日本でも同じような仕組みはできるでしょうか。
 大台町でも、道路沿いにトイレが作られるようになってきています。宮川ルネッサンスの予算なども使われています。
 トイレは一番大事な問題です。文化的な背景があるので、バルのような有料トイレ兼休憩所みたいなところが良いのか、無料の公衆トイレが良いのかは難しいところです。



4 討議

(1)アクションプログラムの3つの目標に関する討議
会場から出た主な意見は次のとおりです。なお、討議に先立って事務局から「問題意識を共有するための討議であって、必ずしも結論を求めない」という断りがありました。
(a)価値に気づく
●訪れるお客さんに対して、アクションプログラムの最初に書いてある「こころ」を思い浮かべるように言っています。個人客だとこれでなるほどと納得してくれるのですが、観光バスで来る人たちはこれで分かるのでしょうか?バスで来る人たちが何を思って来ているのか知りたいと思います。
→個人客は目的を持って来ているので、「こころ」を理解できるしそのものを持っていると思いますが、バス観光だと何も知らなくてもいきなり古道の入り口へポイッと降ろされます。観光バスで来る人にもきちんと調べて知っている人もいるので、みんなが「こころ」を理解しないとは言いませんが、そうでない人たちへどうやって伝えていくか、PRしていくかが大切ではないでしょうか。県が観光面をPRするときにも同じことが言えると思います。(世話人)
→以前に踏破ウォークへ申し込んできたへ定員オーバーで断りを入れるときに話しをしたのですが、「各峠を歩くバスツアーもありますので、そちらをご利用ください」と言ったら、「そういうのは全部参加したけど、峠だけでなく街中も含めて通して歩きたい」という答えが返ってきました。観光バスにもそういう人が乗っていますし、そういう気持ちを持っている人をいかに掘り起こしていくかが大事だと思っています。(事務局)
●地元の物産や隠れた観光資源の掘り起こしに取り組んでいます。地元の人にも熊野古道を知ってもらうためには、そういった商業面での取組も必要だと思います。
(b)守り伝える
●熊野古道には、宗教的な想いを込めて歩いた人たちの時代がありましたが、熊野信仰の面白さというのは、日本古来のアニミズムが脈々と続いていることにあると思います。「万物に神が宿る」という考え方は、他の文化にはありません。宗教にはいろんな宗派があるが、アニミズムを源にしているのは熊野の特徴と言えるでしょう。観光という面から考えても、若い人たちを惹きつけるためにも、この特徴をしっかり伝えていくことが良いと思います。行き倒れ墓標や道にまつわる人物伝のようなものはたくさんありますが、それはあくまで熊野信仰に付随しているものであって、本質となる部分をどうやって守り伝えるかが大切ではないでしょうか。
●先日の台風で横垣峠が崩れて通行禁止になっていますが、道が崩れて守れなかった場合はどうするのですか。迂回路をつくるのか、元のように修復するのか、手法は考えられているのでしょうか。
→現在、山自体がまだ動いている状態なので、危険であり通行禁止にしています。山の動きが止まれば、迂回路や復旧という手法の話ができます。歴史的にもそういった道を直した動きは確認できています。(三重県教育委員会事務局)
●語り部の高齢化が進んでいますが、60−70代の人だけでなく、30−40代の人の参加が必要ではないでしょうか。(代表世話人)
→各峠で活動している人がいます。身近で動く若い人の活動も出てきています。
(c)伊勢路を結ぶ
●結ぶという点では、各地で心強い動きが出てきていますが、横の連携をどのようにやっていくつもりか、行政側に考えはないのでしょうか。具体的には、昨年のリレーウォークは日程が決まっていたので連携しやすかったのですが、今年のふれあいウォーク月間は、期間が長いのでやり方が難しい。もてなしの方法などについて、事務局で検討していくべきではないでしょうか。
→まさに事務局でやろうとしているところで、トイレ貸し出しなどについて、市町を通じて声を掛けさせてもらっているところです。年中やるのは大変なので、今回は課題の洗い出しも含めて9−11月に開催することにしています。
→いろんな取組をしていますが、街中へ人が来ないという話を聞きます。しかし、街中に来ないのは地域全体の責任ではないかと思います。

(2)20年度の取組テーマについて
●「伊勢路を結ぶ」というテーマは、まだまだ課題が多いようです。継続してこのテーマに取り組んでいくということで良いのではないでしょうか。(代表世話人)
→「統一する」という意味合いを、もっと強くする必要があるのではないでしょうか。
→一度、内宮から通して歩いて体感することが大切ではないでしょうか。そうすることで、共通するテーマが見つかると思います。
→和歌山県の人たちとの協力体制はどうなるのですか。やはり目的地の熊野三山というものを含めて、伊勢路を考えていくべきだと思います。

●統一性や共通方式について、もっと道筋を示して取り組んでいくべきではないのですか。
→19年度でサイン(道標)の検討をしていくこととしています。また、7月に開催された紀伊半島知事会議では、三県の連携が薄くなってきているという話題が出ました。民間団体の交流会を開くべきではないかという話もあります。いずれにせよ、「伊勢路を結ぶ」というテーマは、統一性のことや他県との連携のことも含まれているという解釈で良いと思いますが、いかがでしょう。(事務局)
→サイン(道標)については、お金をかけなくて済む、地元の人たちが継続してお世話をしていけるような看板が良いでしょう。三山の統一マークというのは一応決められていたのですが、その話が忘れられて統一感のないいろんな看板が出てきているように感じます。(世話人)


(3)アクションプログラムの改定
 「伊勢路を結ぶ」ことの中身について、どういった取組が必要なのか、事務局の方でまとめておくようお願いします。(代表世話人)

●ページ作成者の勝手な感想
 「熊野古道 伊勢路を結ぶ」、つまり伊勢から熊野まで伊勢路を通して歩けるようにすることが、最近の大きなテーマとして取り組まれています。今回の協働会議の出席者を見ても、世界遺産に登録されている東紀州地域以外の人たちの方が熱心に発言しているくらいで、活動の広がりが確かなものになっているようです。
 簡単な地図を持っていれば通して歩ける程度に、道標を整備して欲しいと思います。しかし、伊勢路は気候も風土も異なる地域にまたがっていますし、無理に統一感を出す必要はなくて、それぞれの地域に合った方法で取り組めば良いように感じます。もちろん、「ここは熊野古道 伊勢路である」ことを分かるようにすることが大前提ですが。
 もう一つ重要だと感じたのは、会場からも意見が出ていましたが、県境を越えた取組です。伊勢路は速玉大社と本宮大社へ続いていますが、H19年9月〜11月に三重県などが主催するイベントでも本宮大社への道が含まれていないように、県境を越えた連携はかなり希薄なように感じます。横垣峠・風伝峠を越えて本宮道〜楊枝の渡し〜万才峠を越えて本宮大社へ至る部分は、伊勢路の中でも山深い場所を歩く趣のある所です。それが、途中で三重県から和歌山県になるためか、未だにメジャーなルートになっていません。事務局でもある三重県行政には、県内の取組を活発にするだけでなく、県境を越えても通して歩ける環境づくりを考えてもらいたいです。
 
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